目指せ☆真空管でハイエンドレコード再生。
レコードの再生に必要なフォノイコライザにはPhasemation EA-200をメインに使っていましたが、改造しすぎて調子が悪くなったのか、歪っぽさを感じるようになりました。
修理しようと外している間は、たまにしか使っていなかった真空管フォノイコライザーYAQIN MS23Bをメインに使用していました。
ノイズが少し気になりますが、真空管の交換で色々と楽しめて、バッチリあった時にはPhasemation より心地いい音を出してくれます。
そうなると真空管フォノイコライザーも気になり出し、ハイグレードなフォノイコライザーへの買い替えも検討しましたが、満足できそうなものは最低でも20〜30万と流石に厳しいです。
自作も含めて検討していると、ネットショップではフォノイコライザーの自作用基板が多数販売されていて、有名製品のコピー回路まであるのです。
中でも有名なMarantz 7のレプリカ回路が圧倒的に多いのですが、やっぱり年代的に新しいハイエンドの回路が気になります。
その中でもEAR834回路というものが多数 目に付きました。
EAR834Pという20万円越えの製品のレプリカのようです。
シンプルな回路で作りやすいと言うこともあるのか、色々なメーカーからそれをアレンジしたものが出ており、評価も悪くありません。
その中でも写真を見るだけでも、こだわりを感じる Zerozone(GZLOZONE) E834-C というモデルを発見しました。
Zerozone (GZLOZONE) は元はオーディオ機器の外部電源を得意とする中国のメーカーのようで、このE834-CもブリッジダイオードとMOS-FITの2段階の電源ローパスフィルターを搭載した、凝った作りの電源を採用しています。
しかも初段の真空管をオリジナルの1本を共有するのとは違い、左右チャンネルを独立した1本ずつの真空管で完全分離しています。
またヒーター電源回路も電圧レギュレータを採用し、更に左右独立しています。
それ以外のパーツも、カップリングコンデンサに、Mundorf製 MCAP-EVOシリーズ、電解コンデンサに同じく、Mundorf製やPhillips製を採用するなど見るからに良い音がしそうです。
価格(送料込)はELECTRO-HARMONIX 12AX7真空管4本付きで7万円、真空管なしで5万円程と手の届く範囲。
もちろん名もない中華製なので、そのままで使い物になるとは思っていませんが、可能性を感じます。
そしてE834-Cは、FedExで2週間ほどでやって来ました。
ロゴは入っていなかったのでカッティングシートで作りました。
真空管なしバージョンを注文したので、到着を待ってる間にAmazonや、ヤフオクなどで色々な12AX7を調達しておきました。
プリ菅はいつもはヴィンテージのものがお気に入りなのですが、先に結論を言ってしまうと、今回は 微細な信号を扱うと言うこともあり、ヴィンテージはノイズ面で不利で諦めました。
初段にはELECTRO-HARMONIXが低ノイズで超低域まで伸びて圧倒的によく、2段目にはMullardが濃厚な音で相性抜群でした。
そしてこのフォノイコライザーは最初の再生で問題が発生。
ゲイン(利得)が 48dbと 通常の一般的なイコライザーより8から10dbほど高いことで、 アンプのボリュームを少しでも回すとすぐに大音量になってしまいます。
オリジナルもゲインが高く、低出力のカートリッジでも低ノイズで増幅できるのが売りのようです。
高出力カートリッジがメインの私の環境では、プリアンプで調整できるならまだしも、とてもこのままでは使えません。
購入前にゲインが高いのはわかっていましたが、 ノイズ面で有利だろうと思いこの機種を選んだきっかけにもなったのですが、音が大きすぎることでボリューム調整が効かないことまで頭が回りませんでした。
NFBをさらにかけて音量を落とすことも考えましたが、音質劣化のことも考え、ライントランスで対応することにしました。
実験の為に、まずはサンスイのドライバトランスST-75 (入力10kΩ:出力600Ω)を繋いでみました。
音量が調整しやすくなり、また音質の劣化もなく大変使いやすくなりました。
ただわかっていた事とはいえ、この小さいサイズのトランスでは、低域が今ひとつ伸びません。
そこで周波数特性の良いTAMURA TD-2 (10k:600)を購入しました。
低域に余裕が出て来ました。
しかし、ボリュームを最大限にすると チー と言う小さなノイズが。
色々と探ってみるとトランスをラインの間に挟んだことで、出力のー側のRCA端子のアースが浮いた状態になっていました。
実験で使用したサンスイのST-75 でもその様に接続していたので、分かってはいた事なのですが、うっかりしていました。
マイナス側を接続してすんなり解消。
音量を細かく調整できるようになったところで、やっとこのイコライザーの正当な音の評価ができる用になりました。
そして肝心な音質はというと、 濃厚で躍動感はあるのですが、中高域に時折ざらついた印象と中低域にクセのある張りのがあり、その代わりに超低域の伸びが悪くズシーンっといった響きがありません。
また、細やかな音が見えず、塊のようになってしまいます。
もう少し良い音で鳴るのではないかと思っていましたが、正直それほどでもないといった印象です。
このままの状態で1週間ほど電源を入れっぱなしでエージングをし、少し滑らかな音にはなって来ましたが、やはり当初の気になる部分は変わらずといった感じでした。
しかし、アンプの改造をしたときの経験から、音の悪い原因がどこから来ているのかというのは大体予想はできました。
間違いなく電源部分で、パーツのクオリティーの問題だろうと。
製品には、3つのブリッチダイオードが搭載されており、 左右はヒーター、その真ん中部分が信号部分になります。
真ん中部分のブリッジダイオードをSiCショットキーダイオード( C3D03060F)を4個に 置き換えました。
変えた直後は、モヤっとした曇ったような音でしたが、 翌日大きく音が変わりました。
全体にざわつき感が少なくなり、低域も明らかに伸びました。
しかし、解像度の低さと中低域のクセのあるハリがまだ気になります。
このクセがぴったり合う曲もあるのですが、どの音楽を聞いてもこの部分が強調されてしまい、単調な印象を持ってしまいます。
カップリングコンデンサのくせとも疑いましたが、MCAP-EVOの評価とは違います。
あと疑わしきは、電源回路の最終部分に搭載されたMOS-FITしかありません。
MOS-FITは昔にサンスイのアンプで搭載されていたのは知っていますが、サンスイのファンでもなかったので宣伝文句の一つだろうと気にかけることはありませんでした。
改めてMOS-FITのことを調べ、動作速度が速く駆動電力の損失が小さい高性能トランジスタだと初めて知りました。
と言っても、電源整流回路の最終段になぜ使われているのかも、いまだによく分かっていませんが、音の良いトランジスタだと理解しました。(^_^;)
そして交換部品として選んだのは、大変評価の良かったSCT2080KEC です。
最初はギスギスした音でしたが、みるみる変化していき、気になる部分が解消されました。
音の解像度や超低域の伸びも今まで聞いたことのないレベルです。
電源回路が音に与える影響を思い知らされました。
交換のために外したブリッジダイオードとMOS-FIT
Phasemation EA-200 の音がつまらないと感じてしまう程に、音の立体感の表現が豊かで、全体的にはくっきりした音であるものの柔らかい表現もでき、ノイズも少なく静かで、当初想像していた以上のグレードアップができました。
今後は更なるグレードアップを目指し、カップリングコンデンサの変更や、抵抗器、残るヒーター回路以外のダイオードの交換もしてみようかと検討していますです。
続く。
この記事へのコメント
faofao
ありがとうございます。
真空管フォノイコライザーはさらに改造を進めています。
また記事にさせていただきますので、その時は読んでいただけるとうれしいです。