トランス内蔵 DL-103GTをつくっちゃえ!




ある日YouTubeを見ていると、ヘッドシェルに小型のヘッドアンプを搭載して、微弱な電圧をMCカートリッジの直近で増幅することで、信号の劣化や外来ノイズを抑えることが出来る、ヘッドアンプが紹介されていました。

そのヘッドアンプは CQ出版 共立電子産業 音楽之友社の3社で共同開発されたもので、youtubeでのオーディオ評論家さんも大変感動されていました。



CQ出版

共立エレショップ

音楽之友社



価格は販売元にもよりますが、15,400円〜です。

手頃だし購入してみようかとは思いましたが、私のメインのカートリッジはローインピーダンスばかりで、このヘッドアンプでは厳しいです。



DL-103.jpeg



手持ちのカートリッジで使えそうなのは、使っていないDL-103だけです。

変なクセがなく大変素晴らしいカートリッジですが、最新のカートリッジと比べると、帯域も狭く聴き劣りします。

これに更にお金をかけてもな〜。と考えていたら、そういえばMCの微弱な電圧をカートリッジの直下で増幅した製品が過去にあったのを思い出しました。


ortofon SPU GTです。


ortofon SPU GT.jpg


放送局で使用するために開発された製品で、超小型のトランスが独特のフォルムのGシェルに内蔵されています。

Gシェルはortofonのカートリッジのシンボル的な存在として、今でもSPUシリーズとして販売されていますが、現在は超小型のトランスを巻ける作り手がいないために、トランス内蔵のGTは廃盤になっています。


超小型とはいきませんが、これをDL-103で再現出来ないかと考えました。

以前試しで製作したMCトランスで使った、価格が安くて小さいサンスイST-12Aが最適ではないかと早速取り寄せました。


ST-12A.jpeg



最初はヘッドシェルの上に貼り付けようとしましたが、どうせならSPUの様にシェルの中に搭載してしまおうと考え、そこから部材を集め始め製作を開始しました。



DL-103 GT製作1.jpeg


木材は音響的によいとかは関係なく、見た目重視で購入。

アールを付けるために木材をお湯に浸し、曲げた状態で乾燥させておきました。

ここから4~5ヶ月放置状態。よくいえば乾燥期間。


DL-103 GT製作2.jpeg


やっと重い腰を上げてラストスパートにかかりました。

こんな感じで放置状態の製作物が他にもいっぱいあります。(^_^;)



ボンドで貼り付け、形にして行きます。



DL-103 GT製作3.jpeg


カッターナイフで荒削りして形を整え、ペーパーで磨いて行きます。


DL-103 GT製作4.jpeg


得体の知れない物体の完成ですが、この後ニスを塗って磨きました。


DL-103 GT製作配線2.jpeg


トランスを搭載して配線して行きます。

接続ピンの部分にトランスのアースを取り、各パーツは補強の上、エポキシボンドで固定。

カートリッジは3mmのアクリルプレートに2.5φのねじ山を切り、それに取り付けエポキシボンドで接着しました。


DL-103 GT完成.jpeg


DL-103GTの完成です。

なんとかスペースに収まりました。


DL-103 GT重量.jpeg


重量はSPUもビックリの38.2gです。

トーンアームとのバランスは追加錘で対応です。


DL-103 GTでレコード試聴.jpeg


ノイズも無く大変静かです。

しっとり感があるクリアな音、更に低域の重圧感もほど良い感じです。

見た目は良くありませんが、何十万もするカートリッジを差し置いて、メインにしても良いかな???と悩んでしまうくらいです。

ちょっと褒め過ぎかな。

でも気に入りました。


シェルにトランスを貼り付けるだけなら比較的簡単にできると思いますので、少し自信のある方は試してみてはいかがでしょうか。

大変おすすめです。



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